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2022.02.11 公演パンフレットに関する訂正とお詫びについて

 ただいま上演中の『シラノ・ド・ベルジュラック』にて作成した公演パンフレットにおきまして、本編中の台詞が上演台本より抜粋のうえ掲載されております。本来であれば翻訳者の意向を十分に尊重し、丁寧に確認作業を進めるべきところでした。しかしながら制作側にその認識が不足しており、確認が不十分だったことから、翻訳者の意図しない形にて掲載される事態を招いてしまいました。

 かけがえのない著作物を納得のいかない形で世に出すことを余儀なくされた谷賢一氏に深く陳謝申し上げます。またこのような事態を招きご迷惑をお掛けすることとなってしまった公演関係者の皆様、何よりパンフレットをご購入いただいたお客様に心よりお詫び申し上げます。

 私どもとしてはこのことを重大なこととして受け止め、再発防止のため制作者への研修を徹底してまいります。また今後、舞台公演において翻訳者の尊厳を損なうような事態が繰り返されることのないよう、すべての表現者の著作権・著作者人格権の価値と重要性について啓発に努めてまいる所存です。

主催 ゴーチ・ブラザーズ
代表 伊藤達哉




 プレビュー公演後にパンフレットのページを開いて驚きました。二十箇所以上、中には長台詞が丸ごと載っているものもありました。原文の著作者(マーティン・クリンプ)の許可は取れているようですが、翻訳者である私への確認が一切なかったため、ゴーチ・ブラザーズに対して異議を申し立てた次第です。

 著作権法上、適正な要件を満たしていれば引用は著作者の許可なく自由に行うことができます。しかしそれを超える場合、著作者への確認が必要になります。今回は長台詞をすべて掲載するなど範囲が多過ぎましたし、勝手に句読点や改行位置など変えており、同一性保持権を侵害しているため抗議を申し上げました。

 翻訳にも著作権はあります。それは特に今回のようなシラノ=言葉の劇を上演するに当たって、重大に注意されるべきことです。

 私としては上記の通り、公明正大に謝罪・ご対応頂けたので、今はわだかまりはありません。お客様に楽しんでもらおうとして台詞の抜粋をパンフレットに掲載した、その意図には賛同しますから回収や販売中止なども望みません。しかし作家・翻訳者の権利、著作権について啓蒙が進むことを望み、今回の発表に至りました。

 これを機に多くの方に著作権というものについて知って頂き、そして作家の魂、心意気を描いた『シラノ・ド・ベルジュラック』という作品をより多くの方に楽しんで頂ければ幸いです。ご来場を心からお待ちしております。


(エドモン・ロスタン原作、マーティン・クリンプ翻案、谷賢一翻訳『シラノ・ド・ベルジュラック』上演台本より)
シラノ「俺は一文字だって変えさせない。変えられるなら死んだ方がマシだ」
ド・ギッシュ「本当にか?」
シラノ「何がおかしい?」
ド・ギッシュ「リシュリュー枢機卿だ。支払いの気前はいい。金になる。シラノ。よく考えてから決めなさい。 プライドじゃ飯は食えない」

劇作家・演出家・翻訳家 谷賢一




訂正と補足(パンフレット38~39ページ目)
一行目、「喋るよ」と「・・・・・・」の間には本来(上演台本では)「。」が入ります。
またこの行のあとに改行が二つ(つまり空行を一つ)挟みます。

「僕はもう一度手紙を書く。君に。」の後には改行が二つ(つまり空行が一つ)入ります。

「だから見ることができない」の後には改行が二つ(つまり空行が一つ)入ります。

上記以外でパンフレットに記載されているその他の改行は、デザイナーがレイアウトのために入れたものであり本来意図されたものではありません。これら意図しない改行によりパンフレットでは段落が不明になっていましたが、上記の位置に改行を入れて頂ければ概ね上演台本通りの形になります。お詫びして訂正致します。

谷賢一 伊藤達哉



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